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AVSとPPSの違い|USB PD充電器はW数と対応方式を分けて選ぶ

AVSとPPSは、どちらもUSB PDで電圧を調整する仕組みですが別の対応項目です。SPR・EPRの電圧範囲、要求電圧の刻み、Apple公式の条件を基に、充電器の仕様表を読む順番を整理します。

公開:2026.10.30

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AVS対応の充電器が必要と案内されたら、PPS対応という表記だけでは判断できません。AVSとPPSはどちらもUSB Power Delivery(USB PD)で電圧を調整する仕組みですが、対応を別々に確認する必要があります。最大W数に加え、端末が求める方式と、充電器がその方式で出せる電圧・電流を照合します。

この記事では、USB-IFのUSB PD Revision 3.2 Version 1.2とメーカーの一次情報から、仕様表の読み方を整理します。特定の充電器で速度を測った実機レビューではありません。

AVSとPPSは別々に対応を確認する

AVSはAdjustable Voltage Supply、PPSはProgrammable Power Supplyの略です。いずれも、充電器側が提示した対応範囲の中で、受電側の機器が電圧を要求します。

たとえば「USB PD・最大65W・PPS対応」と書かれた充電器でも、その三つの表示だけでAVS対応を確認したことにはなりません。これは仕様の読み方の例であり、特定製品の対応を示したものではありません。

TIの技術解説も両者を区別しています。AVSは機器全体に必要な入力電圧へ合わせる用途、PPSは細かな電圧調整によってバッテリーを充電する用途として説明されています。ただし、端末内部の回路や制御まで、充電器の対応ロゴだけで特定できるわけではありません。TIの技術解説

買う側が先に決めるのは、どちらが優れた方式かではなく、使う端末が何を求めているかです。

要求できる電圧の刻みが違う

USB PD 3.2 Version 1.2の要求メッセージでは、PPSの電圧指定は20mV単位、AVSは実効的に100mV単位です。Vに直すと、それぞれ0.02V、0.1Vになります。

方式要求電圧の刻みこの数字からは決まらないもの
PPS20mV(0.02V)端末の充電時間
AVS100mV(0.1V)端末の充電時間

根拠は規格のTable 6.21・6.22です。AVSのフィールド自体は25mV単位ですが、下位2ビットを0にする条件があるため、実効的な刻みは100mVになります。

この刻みは、機器が要求する電圧の指定単位です。充電速度の倍率や、出力電圧の測定精度を表す数値ではありません。PPSのほうが細かいという理由だけで、自分のスマートフォンが速く充電できるとは判断できません。

AVSにはSPRとEPRの範囲がある

AVSを調べると、9Vから始まる説明と15Vから始まる説明が見つかります。ここはSPRとEPRを分けて読みます。SPRはStandard Power Range、EPRはExtended Power Rangeです。

USB PD 3.2 Version 1.2のTable 4.3・4.4では、次の電圧範囲が示されています。

AVSの区分規格上の電圧範囲
SPR AVS9〜15V、または9〜20V
EPR AVS15〜28V、15〜36V、または15〜48V

すべてのAVS充電器が表の全範囲を出せるという意味ではありません。製品が提示する範囲と電流条件を確認します。高出力のEPRについての説明を、そのままスマートフォン向けの条件として読み替えないようにします。

また、規格のChapter 3は電力条件を各ポートについて定めています。複数ポートの充電器を使うなら、合計出力だけでなく、接続するポートと併用時の条件まで確認します。電力が制約される場合の扱いも、規格では別の表に分けられています。

iPhoneの条件はW数だけを抜き出さない

Appleの「iPhoneを高速充電する」では、iPhone 18 ProモデルとiPhone Duoに使う他社製アダプタについて、60W以上に加え、AVSとUSB PD 3.2への対応を案内しています。W数だけを抜き出して「60Wなら同じ」と読むと、方式の条件が落ちてしまいます。Appleの高速充電条件

一方、同じページのiPhone 18 Proモデルの試験注記は、AVSに対応する「USB PD 3.1以降」と記載しています。2026年10月30日の確認時点で、本文の推奨欄と試験注記にはこの表記差があります。

この記事では、どちらかを誤記と決めつけたり、PD 3.1と書かれた全製品の適合を保証したりしません。他社製を新たに選ぶときは、本文の条件を基準に、対象機種への対応とAVSの出力仕様をメーカーに確認するのが確実です。Appleも充電時間は設定・使用状況・環境などで変わるとしています。

これは、以前のiPhoneを含めて一律にAVSが必須という話でもありません。同じAppleの案内は機種ごとに条件を分けています。手持ちの端末の欄を先に確認してください。

仕様表は端末の条件から照合する

商品名の大きなW数から選び始めると、必要な対応方式や使うポートを見落としやすくなります。次の順番なら確認する場所を絞れます。

  1. 端末の型番を確認する。 メーカーの充電条件で、必要なW数、AVS・PPSなどの方式、ケーブル条件を読みます。
  2. 充電器の出力仕様を読む。 対応方式の名前に加え、電圧範囲と電流が示されているか、使うポートが対象かを確認します。
  3. 同時使用の条件を読む。 別の機器をつないだ場合も、必要な出力条件が保たれるか確認します。記載がなければ推測せずメーカーへ問い合わせます。

すでに充電できていて、所要時間にも困っていなければ、新しい方式の名前が出てきただけで買い替えを決める必要はありません。まず必要な速度と手持ちの組み合わせを照らし合わせます。

W数と実際の速度の関係は20Wと30Wの充電速度の違い、ケーブルの電流対応はeMarkerの確認ポイントで詳しく整理しています。

出典と確認範囲

確認日は2026年10月30日です。規格上の条件と、メーカーが特定の機種へ示す条件を分けて記載しています。未検証の充電器を対応機として推薦する記事ではありません。

  • USB-IF Document Library:USB Power Delivery Revision 3.2 Version 1.2。配布ZIP内の2026年8月19日版PDF、Chapter 3、Table 4.3・4.4、Table 6.21・6.22を確認。
  • TIのUSB PD技術解説:PPSとAVSの用途の違い。2024年の解説であり、電圧範囲の整理は上記の規格本文を優先。
  • Apple「iPhoneを高速充電する」:機種別の推奨条件、本文と試験注記のPD版表記、充電時間に関する条件を確認。